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2019/2/20

水谷が見せつけた、卓球のすごさ!

 卓球は多彩な技とスピード感あふれるラリーが魅力の競技。しかし、その一方でボールが小さく卓球台も大きくないため、選手たちの技術の高さが観客に伝わりにくいという側面もある。そこでサービスの回転の種類やフォアハンド・ドライブの威力で群を抜く水谷隼選手が、ファシリテーターの為末大氏に世界トップクラスの卓球のすごさを伝授。「侍ハードラー」として名を馳せた元プロ陸上選手の為末氏は果たして水谷選手の「魔球」を打ち返すことができるのか!?

編集者 高樹ミナ
スポーツライター

水谷隼のサービスは約20種類

為末:Tリーグの開幕戦を会場で観たんですけど、卓球ってテレビで見る以上にものすごい迫力がありますよね。

水谷:そうだと思います。女子はスピード、男子はラリーの迫力にみなさん、驚かれますね。

為末:欲を言えば、ボールの回転数や打球の速さ、選手の体力の消耗度などがもっと可視化されると、今以上に試合観戦が面白くなるとも思いました。例えばサービスの種類はどれくらいあるんですか。

水谷:僕の場合、回転の種類で言えば20種類くらいあります。

為末:えっ、そんなにあるの!? 観客席やテレビで観ているだけじゃ、わかりませんね。

水谷:卓球のボールは小さくて直径40mmしかありませんから、見えないのも当然です。でも卓球はボールの回転がものをいう競技なので、肉眼で捉えきれないさまざまな回転がボールにかかっています。ちなみに基本は上回転と下回転で、そこに左右の横回転が加わり、右横回転や右横下回転など微妙な回転の違いが生まれます。

為末:それって今、この場で実際にボールを打ちながら教えてもらうことはできますか。あれ、僕たちが使っているこのテーブル、よく見たら卓球台じゃないですか!

水谷:いや、最初から卓球台だと思ってましたよ(笑)。

ノーマルな横回転サービスと逆横回転のYGサービス

水谷:実はちゃんとマイラケットを持って来ているんです。まずは回転の変化がわかりやすいサービスを出してみましょうか。最初はフォアハンドの横回転サービスから。これはサービスの種類の中でもノーマルな部類で、相手コートにワンバウンドした時、相手選手の右側、つまり卓球台の外側に逃げるように曲がって行きます。

水谷:次にお見せするのはYGサービスです。YGは「ヤングジェネレーション」の略で2000年代に活躍したオーストリアのヴェルナー・シュラガーという選手が使い始め、それを当時のヨーロッパの若手選手が真似て世界中に広まったと言われています。先ほどの横回転サービスとは逆の横回転をかけるので、相手コートにバウンドした時には相手選手の左側、つまり卓球台の内側に曲がって行きます。回転数も増えるので相手はレシーブしにくくなります。

フォアハンド・ドライブは1秒間に180回転!?

水谷:卓球の打法でもっとも回転がかかるのがフォアハンド・ドライブです。トップ選手になると1秒間に160〜180回転とされていますが、同じフォアハンドでも回転のかけ方によって軌道やスピードが異なるので数字は一概に言えません。僕はもともとフォアハンド・ドライブが得意なんですけど、ここ数年、世界の卓球はバックハンドが試合展開の軸となり、バックハンドが強くないと勝てないので、僕もフォアハンドだけでなくバックハンドも強化しています。

為末:フォアハンド・ドライブ、すごい威力ですね!

水谷:為末さん、一緒に打ちませんか。サービスを出すのでレシーブしてみてください。

為末:えーっ!捕れるかなぁ。

為末:いやあ、観るとやるとでは大違いですね。すごくボールが曲がるし、ラケットに当てられたとしてもまともにレシーブが返りません。実際に水谷選手のサービスを受けてみて、それだけでも卓球選手のすごさがわかりました。

(次回に続く・・・)

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アスリート一覧

卓球

水谷 隼(みずたに じゅん)

所属
木下マイスター東京
背番号
0
生年月日
1989年6月9日
出身
静岡県
身長/体重
172㎝/63kg
得意なプレー
ラリー
選手経歴
5歳で卓球を始める。天性の柔らかいボールタッチが持ち味。全日本選手権バンビ・カブ・ホープスの部で優勝。中学2年生でドイツに卓球留学ブンデスリーガで才能を磨く。青森山田中学・高校を経て明治大学に進学。15歳10ヶ月(当時、史上最年少)の時、2005年世界選手権で初代表入りを果たす。全日本選手権は前人未到の通算9勝。2016年リオ五輪男子団体銀メダル、男子シングルス銅メダル獲得。世界ランキング10位(2019年1月発表。自己最高は同4位)
趣味
ゲーム、筋トレ
最近ハマっていること
ゲーム(クラッシュロワイヤル、ブロッサム・ブラスト)
好きな言葉
家族
SNS
Twitter:@Mizutani__Jun

為末 大(ためすえ だい)

プロフィール
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。
男子400メートルハードルの日本記録保持者(2019年2月現在)。
現在は、Sports×Technologyに関するプロジェクトを行う株式会社Deportare Partnersの代表を務める。
新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。主な著作に『走る哲学』、『諦める力』など。

松下 浩二(まつした こうじ)

生年月日
1967年8月28日
出身
愛知県
経歴
バルセロナからシドニーまで4大会連続でオリンピックに出場。世界卓球選手権では1997年大会で男子ダブルス銅、2000年大会で男子団体銅。日本人初のプロ卓球選手としてドイツ・ブンデスリーガでプレーした。2009年の全日本選手権を最後に引退。2017年3月 一般社団法人Tリーグを設立。2018年7月1日には代表理事/チェアマンを務める。

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