毒舌キャラを突き通す…、たぬかなが感じる自分らしく生きる難しさ
ありのままの姿で共感をつかむことが必要だとする國光氏のアドバイスに対し、納得しながらもどこかまだ表情が晴れないCYCLOPS athlete gaming所属のたぬかな選手だったが、その背景には自身が過去に受けたバッシングの記憶があった。
飾らない姿をファンに見せたいと話す一方で、過去に受けた心ない悪口がその笑顔に影を落とす。その表情を見た國光氏から、自身のネット炎上の経験から培った「自分の心地よい環境を生み出す術」が語られた。
國光:チーム作りの話を聞きながら感じたけど、たぬかなさんは意外と周囲からのイメージを気にするタイプなんだね。
たぬかな:そうなんですよ。たぶん私が過去にめちゃくちゃ叩かれたりしたこともトラウマになっているのかも。プロになって露出が増えてから、応援してくれる人も増える一方で叩かれることも増えて…。私のひどいあだ名がふたつあるんですけど、知ってますか。
國光:美人ゲーマー、みたいなのじゃないの?
たぬかな:いやいや!「ほうれい線ババア」と「口臭深海魚」って言うんです。
國光:何それ! 全然口臭くないよ(笑)。
たぬかな:「口臭い」ってゲーム界でのお決まりの悪口みたいなんですよ。とりあえず気に入らんやつがいたら言う…みたいな。
國光:「お前の母ちゃんでべそ」みたいな…。
たぬかな:そうそう、そんなレベル(笑)。他にもいろんなデマも言われて、女の子が生きて来て「そこまで言われることある?」って思うほど。それで、けっこうへこんじゃって。
國光:僕もあるよ。会社を作って最初は、利益出てないとかって話からどんどんエスカレートして、「この、なまず」とか「カエル」とか言われてさ。
たぬかな:國光さんまでそんなこと言われるんですか!?
國光:そう。でもね、やっぱり注目されてなんぼっていう部分もあるんだよね。最初は悪口を言われていても、負けずに活動し続けているとどこかのタイミングで「あれ? 意外といいやつじゃん」って変わる瞬間が来るから。無関心が一番よくない。
たぬかな:わかってはいるんですけどね。プロゲーマーのイメージを良くしたいって思っている私が叩かれていたら元も子もないんじゃないかなって思ってしまって。見た目も中身も、モデルケースみたいになれたらなって思ってはいるんですけど、素が毒舌なのでつい暴言吐いちゃって炎上とか(笑)。
國光:一度キャラ設定に軸を持ってみると悩みもふっきれるんじゃない。僕はビジネスとして成功する前から、よく登壇イベントに呼んでもらっていたんだけど、その時にどのポジションを狙うかっていうのを常に考えていたんだよね。僕が狙ったのは、芸人で例えると有吉さんのポジション。業界内で自分よりも立場が上の人にもがんがん突っ込んで行くスタイルを取っていたよ。
たぬかな:確かに戦略的に考えてみると覚悟を持てるのかも。
國光:たぬかなさんのサバサバした感じを「好き」と言う人もいれば、「無理」って言う人もいるかもしれない。でも、きっと飾らないたぬかなさんを好きと言ってくれる人は、ちょっとやそっとのことじゃ離れないファンになると思うんだよね。もしたぬかなさんの個性が受け入れられずに、今までついていたスポンサーが離れるようなことがあったとしたら、彼らはきっとそれまで以上に応援してくれるはず。
たぬかな:言われてみれば、空気を読まずに本音を言ったとき、SNSで反響をもらったことがありました。アイドルの女の子たちが鉄拳で戦うと言う企画の番組だったんですが、一番真剣に練習してきた子が1回戦で負けてしまったんですよね。勝った選手の中から私がひとり印象に残った選手を選ぶと進行だったんですけど、本当は負けてしまった子を私は選びたくて、番組の中でもそう発言したんです。もちろんスタッフやスポンサーさんは困ってしまっていたんですけど、twitterでは「よく言ってくれた」と言う声が多くて。負けてしまった子も私の発言を聞いて喜んでくれていたみたいだったので、自分の気持ちに正直な言葉は誰かの心に残るんだなって感じました。
國光:まさにそうしたところなんだよね。チーム作りの話題でも話したけど、やっぱり本音じゃないことって今は見抜かれてしまう時代。逆にやりたいことやりまくってる人にはファンがつくんだよ。何か問題を起こしたり、怒られたりしたら、ちゃんと謝ればいい。ファンはわかってくれるよ。
たぬかな:そうですね。いろいろ気にしすぎているのかも。私のことを批判する人のことよりも、好きでいてくれる人のことを考えて行動したいな。
<写真・撮影:市川 亮>
(次回に続く・・・)
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