「徳島にe-Sportsチームを!」 たぬかなの夢をgumi國光会長が実現!?
壮絶な半生を振り返りながら、e-Sportsチームを作り、地元・徳島を盛り上げたいと語ったたぬかな選手は、その構想を形にするうえで、様々な悩みも抱いているという。そこで数々の大ヒットゲームを世に送り出してきた株式会社gumiの國光宏尚会長が経営者の視点から、彼女の抱える想いそして課題に切り込む。はたして、たぬかなの夢は実現へと進むのか。
プロになると同時に芽生えた地元への恩返し
國光:たぬかなさんは、そもそもどうしてプロになろうと思ったの。
たぬかな:実は今所属している「CYCLOPS athlete gaming(以下 CAG )」を受けようと思ったときは、まったくプロになるつもりはなかったんですよね。
國光:え、そうなんだ。
たぬかな:新卒で入社した会社が倒産したというお話は前回させていただいたんですが、そこからバイト生活を経て、やっと正社員で安定した暮らしを送っていたんですよね。休みも週休二日もらえて、お給料にも満足していました。ゲームの大会に出て、応援してもらえるのはすごくうれしかったので、「兼業できたらいいかなぁ」っていう気持ちでした。
國光:そこから気持ちが変わったのはどうして。
たぬかな:CAGとの面談で、不安に思っていた給料面のことも詳しく説明してもらえて安心できました。e-Sportsのチームで固定給が出るところって多分すごく少ないと思うんですよ。でも、もし大会で結果がなかなか出なかったら、契約を更新できないこともあるという厳しい面もきちんと伝えていただいたんですよね。そうした話を聞いているうちに、専業で頑張りたいという想いも強くなりました。
國光:地元を離れるのはさみしくはなかったの…。
たぬかな:さみしかったです。でも大阪ならすぐに帰れるからいいかなって。私、めちゃくちゃ甘ったれなんですよ。だから帰りたくなったらすぐに帰れる距離感もCAGがちょうど良くて。
國光:いつか徳島に帰ってチームを作ろうとしているくらいだもんね。
たぬかな:はい、その想いはプロになった当初からずっと持っています。國光さん、徳島にどんなイメージを持ってますか。
國光:う~ん、みかんとうどん…。
たぬかな:それどっちも香川ですね! というくらい、徳島って何もない場所なんですよ。川、山、田んぼがあって自然が豊かな場所。だけど観光資源も少なくて、若者たちの働き口も娯楽も少ないんですよね。私は徳島の若者に、地元で夢を持って欲しいと思っているので、経歴問わず応募できるチームを作って、「挑戦してみたい」と思ってくれる人が増えたらいいなって。
選手生命が長い「格ゲー」でe-Sportsを若者の夢に
國光:若者たちの目指す場所になるというわけか…。そこまでの想いをどうして持つようになったの。
たぬかな:プロになってすぐに、社長から「e-Sportsで若者を元気にしたい」という理念を伝えてもらったんです。その理念のために「僕たちが何をできるか」を考えようと。私がそこで思い浮かぶ「若者」は、徳島の若者たちでした。地元で夢を見つけられずに過ごしていたり、すぐ県外に出てしまう友人もいたので、そうした人たちに向けて自分が何をできるかを考えましたね。
國光:e-Sportsはこれから間違いなく伸びる市場だから、e-Sportsプレーヤーという夢は時代ともマッチしているよね。
たぬかな:そうですね。応募者が増えれば他にもチームが生まれて行くと思うので、徳島に人が集まるきっかけにもなれたらと思っています。特に私がプレーしている「鉄拳」は、いわゆるシューティング系のゲームに比べて選手生命が長く、プロを目指しやすいゲームなんです。
國光:そんな違いがあるんだ。
たぬかな:シューティング系は反応が命なので、CAGでもプレーヤーは10代から20代前半が多いですね
國光:え、20代前半で引退!?
たぬかな:でも格闘ゲームは、相手の動きを読むスキルで反応の速さを補えるので、この前も40歳近い方が大会で優勝しています。
國光:同じような話を将棋の羽生(善治)棋士がしていたよ。若いときのほうが頭の回転は速いから、何手先までの展開を短い時間で考えられるんだけど、経験を積むごとに、局面での判断力が上がって来て、予測が当たる確率がどんどん高くなって行くらしい。
たぬかな:似てますね! 面白い!
國光:最近は将棋人気も高まっているけど、自分がプレーしていなくても、見るのが楽しいという感覚が、これからのゲームには非常に重要。サッカーや野球をスポーツバーで見る感覚と同じだよね。プレーヤーだけではなく、見る人が増えることで徳島への注目も集まるといいね。
たぬかな:そうなったらうれしいですね!
<写真・撮影:市川 亮>
(次回に続く・・・)
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