JリーガーVS女流棋士3本勝負 最後の決戦は「ハサミ」対決
ジェンガ対決、ブラックジャック対決といずれも谷口由紀棋士から勝ちを奪えなかった池谷友喜選手が、最後に挑むのはハサミ将棋。プロ棋士と仮にも「将棋」対戦という、圧倒的不利にも見える勝負だが、3戦全敗は勝負師としてのプライドが許さないだろう。
谷口棋士は「はさみ将棋は将棋の実力とは関係ない」と話すが、将棋盤上で繰り広げられる戦いだけに負けられないという気持ちもあるはずだ。池谷選手の大金星か、谷口棋士が盤石の試合運びを見せるのか・・・決着はいかに。
池谷選手×谷口棋士(はさみ将棋)
今回のルール
1. 自身の駒をタテもしくはヨコに、将棋盤上のマス目を好きなだけ動かすことができる。
2. ただし、味方や敵の駒を飛び越えることはできない。
3. 自身の駒2枚で相手の駒をタテかヨコにはさむと、その駒を獲ることができる。
4. 通常の将棋と異なり、獲った相手の駒を自身の駒として再び使うことはできない。
5. 先に3駒を獲った側が勝利となるが、今回は特別ルール(?)で5駒奪取した側が勝利とする。
先攻は池谷選手。まず真ん中の駒を将棋盤中央へと進めると、谷口棋士は味方の駒をぴたりとその正面につけた。威嚇のような一手に池谷選手が身じろぐ。
じっくりと考えながら二手、三手と進める池谷選手だったが、左サイドの自身の駒の正面にまたしても谷口棋士の駒が置かれると、少し焦ったのかすぐにその駒を逆サイドに逃がした。しかし、逃がした先は敵の駒のすぐ後ろという凡ミスを犯すと、すかさず谷口棋士がそれを挟み獲った。うかつ!
谷口棋士 1 – 0 池谷選手
池谷:今のはちょっとイージーすぎましたね・・・。
このミスで池谷選手は序盤から冷静さを欠き始める。一方、谷口棋士は余裕の笑みを浮かべながら池谷選手の一手一手をじっくり待つ。ピシャリと駒を置く音さえもが池谷選手を追い込んでいく。
徐々に谷口棋士の駒が盤面に広く散らばるようになると、池谷選手は獲られそうな駒を守るべきか、他の駒を進めるべきか迷いながらも攻めを選択。ここで池谷選手が見捨てた駒を谷口棋士が着実に拾った。
谷口棋士 2–0 池谷選手
どの駒から進めるか、池谷選手の指が動いては止まる。前回対決ではディーラーも務めたファシリテーターの岩本氏がたまらず口をはさみ、中盤からはアドバイザー付きの対戦に。
しかし、すでに2駒を獲られた池谷選手は敗色濃厚なため、ここで作戦変更。谷口棋士からとにかくひと駒を奪う目標に切り替えて挑む。
谷口棋士 3–0 池谷選手
このとき、池谷選手はすでに3つ目の駒を獲られていたうえに、さらに2つが敵の駒に寄せられているというピンチに。そのどちらかを逃がすものと思いきや、池谷選手はまったく違う場所にあった自身の駒を動かし、相手の駒の後ろにつけた。
谷口棋士もその状況に気づいたものの、肉を切らせて骨を断つ! 勝負を優先しすでに狙いをつけていた駒を奪う。
谷口棋士 4–0 池谷選手
ここで谷口棋士の「リーチ」状態に。
しかし、池谷選手にとって、ついにその瞬間がやってきた。谷口棋士の駒をさきほどの手で置いた駒と前方から駒で挟み込み、念願のひと駒目を奪取した。
この展開に会場も勝敗を忘れ拍手喝采!
谷口棋士 4–1 池谷選手
もちろん、次の谷口棋士の手でさらにひと駒を失い、勝負は決したものの、池谷選手はすでに盤面を見てはおらず、奪った駒を手に笑顔をはじけさせた。
最終結果
谷口棋士 5–1 池谷選手
Jリーガーと女流棋士の対決は、3本とも谷口由紀棋士の勝利となり、プロ棋士の判断力や集中力、洞察力の高さを見せつける形となった。
元々読書を通じた、様々な分野からの情報収集に意欲的だった池谷選手の「将棋で培われるスキルやメンタリティのなかには、サッカーと共通するものがある」という発想から実現した今回の対決では、池谷選手にとって谷口棋士の一挙手一投足から感じ、得るものがあったに違いない。
2019年シーズンを、新天地となるカマタマーレ讃岐で戦う池谷友喜選手は、この3本勝負で見せてくれたひたむきなプレーと素直なキャラクターで、香川県のサポーターにも「夢と感動を」与えてくれることだろう。
池谷選手、谷口棋士、3本勝負、お疲れさまでした。
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