自分の中の“動と静”を活かしスポーツ界を盛り上げたい
自らを「おしゃべり」と評するほど、自身の意見を伝える力を持つ池谷友喜選手は、一方でひとり静かに自分と向き合う時間も大切にする。そうした“動”と“静”をテーマにした、サッカーと異業種のコラボレーションが、新しいファンを呼ぶのではと考えている。なかでも、日本の伝統文化とスポーツとの親和性を捉えている視点に注目したい。
声がでかいから出席番号1番
自分自身の性格は、活発でおしゃべり。中学生の頃には、体育祭の応援団長にも立候補しました。中3の時、出席番号が1組の1番だったんですけど、それは声のでかいやつを1番にしたかったからだと担任から教えてもらいました。卒業式で、最初に名前を呼ばれて返事をする。「その時のためだ」って。
半分くらい冗談かもしれないですけど、それくらいおしゃべりでしたね。好きな女の子には話しかけられないようなところもありましたけど(笑)。
こういう性格も、池谷友喜という人間を知ってほしいというところから来ているのかもしれないです。プロになってからも、SNSを使って自分の言葉を積極的に発信しています。基本的な性格はすごく動的なんだと思います。
一方で“静”の部分も大事にしたい。
少しじっくり考えたいことがある時には、家の和室に入って、ひとり静かに過ごします。そこは寝室やダイニングとも分かれた部屋で、自分とじっくり向き合いたい時に使う場所。
こういう場所を作ろうと考えたきっかけは喜多川泰さんの『書斎の鍵』という本を読んだこと。その本の中で、「身体の汚れはシャワーを浴びれば落とせるけど、心の汚れを落としてくれるのは読書だ」という話があるんです。「心が汚れた時は、『心のシャワールーム=書斎』に入って、過去に自分が読んで心が震えた本を読み返せばいい」と。これを読んですぐ、「よし、書斎作ろう」と思い立ちました。
元々、大学時代からよく読書はしていたんです。就活をきっかけに、社会を勉強しようと思って読み始めたら、他人の考えや経験を、本を通して疑似体験するような感覚にはまりました。歴史上の武将の哲学とかも好きですね。書斎でも読みますし、練習後にひとりカフェに行って読むこともあります。
日本伝統文化の精神性、本物に触れてみたい
本を読んで新しい知識を得る目的のひとつには、やっぱりサッカーへの想いがあります。「どうしたらサッカー界が盛り上がるのだろう」という課題を普段からよく考えていて、この前もロアッソ熊本のマッスルアンバサダー、スガッシュさん(スタジアムDJ)と話していたんですよね。
「僕は異業種同士のコラボレーションに魅力を感じている」という話をしたら、「じゃあマッチョと抹茶はどう?」って言われて。ダジャレなんですけど(笑)。それなら僕はサッカー選手で読書好きだから、「サッカーと作家?」とか言いながら笑ってたんですが、案外いい線いっているんじゃないかな。
もしかしたらその企画を見て、今までスポーツをあまり見たことのない人が、スタジアムに足を運んでくれるようになるかもしれない。その人がサッカーと出会うことで、人生をより楽しんでもらえるきっかけになるかもしれない。コラボレーションによって、双方向のファンの行き来が生まれる可能性がありますよね。
なかでも茶道や座禅など、日本の伝統文化の精神性はアスリートのメンタルトレーニングに役立つ部分もあると感じています。
他に注目しているのは将棋。実は大学時代、後輩から勧められてスマホの将棋ゲームを始めてから、将棋も好きなんです。戦術もおもしろいですし、あの静寂のなか極限状態まで集中を高めるメンタリティにもすごく興味があります。
いろいろとアイデアは膨らむのですが、まだどれも本格的に習ったことがないのが現状です。実際に本物に触れて初めて感じられるものがあると思う。まずはぜひ自分で体験してみたいですね。(次回に続く・・・)
< 記事の更新予定は、こちらでお知らせします ⇒ @athlete_channel >