社会人一年生アスリートが30歳までに1,000万円貯蓄は可能か…専門家に聞く
2018年4月に新卒で就職したばかり社会人一年生のフットゴルフ女子日本代表・前田春香選手には、仕事と競技を両立しながら30歳で1,000万円を貯めるという目標がある。しかし現状は、家計簿すらつけていないのだとか。そこで、ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏が、前田選手の経済状況をチェック。目標達成への道を探る。
お金を貯める前にやることとは…
前田:初めまして、前田と申します。本日はよろしくお願いします。
中嶋:こちらこそよろしくお願いします。実は私、フットゴルフというスポーツを初めて聞きまして・・・。海外では随分普及しているんですね。しかも前田さんは日本代表として活躍されているのだとか。
前田:はい。昨年、社会人となり仕事をしながらフットゴルファーとして活動しています。今日は、私のような社会人一年生が普通の生活とフットゴルフを両立して、さらにお金を貯める方法はないか相談させて頂ければと思っています。
中嶋:わかりました。前田さんには30歳までに1,000万円を貯めたいと言う目標もあると聞いていますが。
前田:そうなんです。漠然とですが、家が欲しいなと思っていまして。
中嶋:なるほど。前田さんは現在23歳ですから、単純計算すると7年間で貯蓄をすることになりますね。1年で約142万円、ということは1ヵ月で約12万円。これはかなり険しい道のりですよ!
前田:やっぱり・・・。
中嶋:でも、あきらめないで下さい。まず貯蓄をするには、ご自分が毎月どのくらい貯められるのかを確認することが必要です。そのためには毎月の支出を調べ、どのくらい使って良いのかを確認することが大切になります。前田さんは現在、例えば家計簿をつけるなど、毎月ご自分がどのくらい支出しているかご存知ですか。
家計簿なし、貯金は「余った分」・・・悩める乙女の現実
前田:それが何もしていなくて・・・。実は毎月どれだけ使っているか、正直自分でもわかっていません。貯金も決まった額を貯めているのではなく、その月が終わって「余った分が貯金」という感じです。
中嶋:実際のところ、若い方の多くが明確に貯金をしているわけではないようですね(笑)。「マネーフォワード」などの家計簿アプリはご存知ですか。クレジットカードや振り込みでの支払い、モバイルSuicaなどのネットの履歴を自動的に取り込んで家計簿としてチェックできるアプリです。アプリなら最初にカード情報などを登録すれば、後は自動でデータを取り込んでくれます。可能な限り現金を使わなければ支出がすぐにわかりますよ。
支出を家賃、光熱費、食費、携帯電話代など毎月ほぼ一定の生活費と、生活費以外の支出、主にお小遣い的な支出である変動費で分けてチェックすることが大切です。前田さんにとって、変動する出費にはどのようなものがありますか。
前田:フットゴルフや洋服代、友人との交際費がほとんどですね。(フットゴルフで)国際大会があると、行き先で異なりますが、かなりの支出になります。
中嶋:事前にお給料と家賃などを伺っていましたが、前田さんは家賃補助などもあり固定費が実家暮らし並みに抑えられていますね。変動費、つまり自由に使えるお金が毎月17万円ほどと、同年代の方々の中ではかなり恵まれていると言えます。
前田:確かに学生時代に比べれば、お金を貯めることはできています。ただ、フットゴルフの国内大会で毎月交通費なども入れて2万円ほどかかりますし、例えば昨年12月のワールドカップでモロッコ遠征をした時には30万円ほど使ってしまいました。
貯金1,000万円の壁は高い! 目標達成のプロセスとは?
中嶋:やはり、競技活動の負担は大きいですね。昨年から社会人とのことですが、保険などには加入していますか。
前田:社会人になったことをきっかけに生命保険と年金保険に加入しています。毎月合計2万円ほどの保険料です。
中嶋:了解しました。先ほどの17万円から、保険料2万円、フットゴルフ2万円(参加する大会や時期によって異なる)を単純に差し引きすると毎月13万円。貯金だけで目標を達成するには、ほぼ全額を貯めるということになってしまいますね。
前田:・・・。
中嶋:加入されている生命保険は、がん保険なども含まれているようですが、前田さんはまだ23歳ですし、独身です。前田さんのお給料を頼りにされている方がいない現状では、不要に感じます。がん保険は若いうちは女性の方が、がんにかかりやすいので検討の余地はありますが、保障額が少なければあっても無くてもあまり変わりないですね。万が一に備えてメリハリをつけて加入する、と考えて下さい。この保険は解約すれば月に1万円ほど浮きますから、けっこう大きいと思いますよ。年金保険は、加入期間がまだ短いため解約返戻金で損するでしょうし、貯金と考えれば解約する必要はないと思います。会社の団体保険はご確認されたことはありますか。
前田:調べたことはありませんが、安いということは知っています。
中嶋:そうなんですよ。団体保険は個人契約よりも割安です。退職すると継続できないというデメリットはありますが、保険については団体保険をしっかりお調べになったほうが良いですね。
前田:わかりました。調べてみます!
中嶋:いずれにしても、30歳で1,000万円の貯蓄はかなり高いハードル。できれば年齢をもう少し引き上げても良いように感じますが、それでは前田さんのご希望に沿ってはいませんよね。次回からは目標達成できる可能性として、その方法をお話しできればと思います。
前田:よろしくお願いします!
(次回に続く…)
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