國光的対処法伝授 新しい夢は素直に語れ! 批判の声はミュート!
過去のバッシングの記憶を断ち切り、自分らしくあろうと決意したたぬかな選手の前に最後に立ちはだかる壁がある。アスリートとしてのたぬかなとe-Sportsのインフルエンサーとしてのたぬかな…そのふたつの役割の両立という課題だ。
過去のバッシングの記憶を断ち切り、自分らしくあろうと決意したたぬかな選手の前に最後に立ちはだかる壁がある。アスリートとしてのたぬかなとe-Sportsのインフルエンサーとしてのたぬかな…そのふたつの役割の両立という課題だ。
女性だから注目されることへの違和感
國光:たぬかなさんみたいに発信力のある女性e-Sportsプレーヤーはまだ業界に少ないよね。若くてかわいいし、取材依頼はすごく多いんじゃない。
たぬかな:ありがたいことに、最近はメディアで取り上げていただくことも増えました。
國光:今後e-Sportsを盛り上げて行きたいと思っているなら、すごく有利な立場だよね。
たぬかな:そう…だと思います。でも、正直その立ち位置にも少し悩んでいるんです。
國光:なんで悩むの…。
たぬかな:女だからプロになれたんだろって、言われるときもあるんです。実際、もしかしたらそういう理由も多少あったかもしれないと自分でも思ってしまって。でもそれまで8年間頑張ってきた実力もあるんだから「もっとそこを見てほしい!」って思うんですよね。
國光:なるほどね。その気持ちもわかる。でも、使えるものは全部使っていいんじゃない。最近「インフルエンサー」という肩書が生まれて来たけど、あれもファンビジネスのひとつ。たぬかなさんの容姿を含めてファンになってくれる人がいて、そのファンたちがたぬかなさんの行動から夢を見ることができたら、それは成功と言えると思うんだけどな。
たぬかな:まだそこまで吹っ切れていなくて、「プレーを見て」と思ってしまうんですよ。でも一方で、私をプロにしてくれたe-Sports界への恩返しの意味でも、やっぱりメディア露出の対応もしたい。でもそれで一時期、練習時間が減ってしまったんです。強さか、プロモーションかという選択も必要なのかなって。
國光:スポーツ選手の価値は、勝つことだけじゃないと思うんだよね。見る人に夢を与えることなんだよ。Jリーガーの三浦知良選手だって、試合で点を決めなかったとしても「カズがまだ頑張ってる」って元気をもらう人もいる。野球の大谷翔平選手だって、彼が二刀流に挑戦していること自体に勇気をもらうファンが多い。前回のチーム作りにも通ずる話で、どうやってファンに夢を与えるのか、楽しませるのかという軸を定めたほうがいいよね。
たぬかな:軸、ですか。
國光:そう。たぬかなさんの場合は、e-Sportsで勝って夢を与えるのか、e-Sportsの普及を通じて夢を与えて行くのか、どっちがしたいんだろう。
たぬかな:すごーく本音を言うと、上を目指し続ける限界も感じ始めてはいるんです。なので、普及活動を含めたセカンドキャリアの話をしたら…。
國光:批判された…。
たぬかな:はい。「世界一目指す」って嘘だったのかよって。
國光:目標なんてステージごとに変わって行くのが当たり前だよ。今、新しい夢を見つけたと素直に話してみたらいいんじゃない…。その時について来てくれるのが、本当のファンだと思う。
たぬかな:宣言しちゃうんですね。でも、まだ迷っちゃうな…。私のこのメンタルの弱さがダメだということもわかってるんですけど。やっぱりどう思われるかをどこかで気にしてしまうんですよね。
國光:迷っていることも正直に伝えてみたらいいんじゃない…。周りからの批判なんて、3、4年もしたら慣れるよ(笑)
たぬかな:本当ですか!? 私はここ2年くらい言われ続けているから、あと1年かぁ! もう少し!
批判はミュート 応援してくれるファンだけを見ろ
國光:そうそう、あとTwitterでいろいろ言ってくるやつはね、ミュート。
たぬかな:ミュート! 私、批判的な意見も自分への戒めだと思ってつい全部読んじゃうんですよね。
國光:気にしすぎてもキリないもん。僕も叩かれまくってYahoo!ニュースのトップに1週間に3回載ったことあるよ。これすごくない…。
たぬかな:Yahoo!のトップに3回はやばいですね。
國光:たぬかなさんがもし、新しい夢の発表をした時に、批判するやつもいるかもしれない。だけどその新しい夢には、たぬかなさんが今まで生きて来た人生のストーリーが詰まっているはずなんだよ。そのストーリーに共感する人が、今度はファンになってくれるから。その新しい夢に自信を持って進む、その過程を応援してもらえばいいと思うよ。
たぬかな:自信かぁ。私が自信を持たないと誰もついて来てくれませんよね。
國光:明確に自信がある人には、人がついてくるからね。
たぬかな:悩んでいたことがすっきりしました。
國光:炎上に悩んだらなんでも聞いて(笑)。
徳島を「e-Sportsで元気にしたい」というたぬかな選手の夢を紐解く中で見えたのは、彼女の繊細な一面だった。ビジネスの先輩としてアドバイスを送った國光氏も、インタビューを終える頃にはすっかりたぬかな選手のひたむきな姿に心をつかまれたよう。e-Sports プレーヤーとして、ひとりの26歳の女性として、様々な悩みに向き合う等身大の姿は、e-Sportsファンを超え、幅広い層の共感を呼ぶに違いない。